2023.06.11 02:37稽古と云う事よく言われるように、稽古とは本来「古(いにしえ)を稽(かんがえる)」という意味を持ちます。当流の様に、江戸時代以前の古流を源流とする武道ではよく「練習」ではなく「稽古」といいますが、これはまさにただの反復練習ではなく、いにしえをかんがえる事もその眼目にあります。古流、古武術の秘伝と云うと、現代では失われた神秘的な力や技と思われがちです。確...
2023.06.04 02:25真剣を遣う事について居合とは居合わせの武術であり、刀剣による技術に限られず、己の身、身の回りの物、地の利、時の利すべてを利用して敵を制するすべが本来の姿です。古傳では172本(神傳流秘書を中心に、同書にある併傳柔術夏原流を含めた166本、時代ごと複数ある伝書の重複は同書に集約し、英信流目録二巻にしか見えない小太刀之位6本を加えた数)の業がありますが、うち73...
2023.01.13 15:00武蔵野稽古会傳 作法 細論 終わりにまとめ以上が当会に伝わる、基本中の基本となる礼法、伝承です。序文にあるとおり、あくまで当会に伝わる伝承を、当会の居合道としての修行に供する目的として細部まで分解、且つその所作が持つ意味を考えてみました。不肖の文章力不足もありますが、武術、武道における文字による解説とはあくまで門下、経験者の補完的教材にしかならず、未経験者が読むだけでは理解...
2023.01.07 15:00武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之十二そのほかの伝承 二・重心の事重心においては「嚢に重しを下げたる心持」(これは英信流の口伝であったか、不肖の別武術での口伝であったか、曖昧です)とし、これも古流武術にみられる重心の意識を下に置く心持と同義と考えます。立ちながらの業においては重心が上がらぬよう、浮身の際は膝を抜き「落ちる」心持で移ります。・呼吸の事呼吸は武術にとって重要な要素...
2022.12.02 12:50武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之十一そのほかの伝承 一鷲の爪の事直立の時に、空いている手の親指を軽く握り込む事を清田泰山師より「鷲の爪」と教わりました。同流、同系統の道場であっても、直立の姿勢は指先を揃え伸ばす道場も多く、果たして道統の教えなのかは不明です。戦国時代、胡坐礼の際に同じ握り方で床に拳を着けて頭を下げる作法があり、親指を切り飛ばされたり、取られて折られたりすると...
2022.11.16 08:46武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之十礼法 六刀礼、帯刀三礼の最後、刀礼を行います。神前の拝礼後着座し、左手の刀を座礼に同じく右手に持ち替えます。右手で持った刀の鐺を、膝から前方一尺程、右膝の右斜め前に着き、鐺を軸として柄頭を左へ寝かせ、静かに我が正面へ横たえます。この時、鍔が左膝外の線に来るようにし、刃は自分を向いています。刀が床に安定したら右手に下緒を持ったまま鞘から手を...
2022.11.05 05:15武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之九礼法 五神前の拝礼次に神前の拝礼を行います。当会や、会長や不肖の在籍した道場では、武神として当流始祖とされる林崎居合明神の神棚を道場正面に戴き、拝礼します。本来は道場の北、または西側の壁に神棚を戴くべきですが、稽古している武道場のレイアウト上致し方ない場合は道場入口からみて正面に戴きます。座礼の時と同じように右手で刀を持ち、体の正面に立て...
2022.10.26 03:00武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之八礼法 四師範に対する座礼師範に正対し着座したら姿勢を正し、心を落ち着けます。左手に持った刀を体の正面、刃を我に向け膝から一尺の処へ鐺を着け垂直に立てます。左手で握っている辺りに右手を添え、下緒ごと右手に持ち替えます。この時、左手では親指を刃側の鍔に掛けていましたが、右手の時は人差し指を差裏側の鍔に掛けます。下緒は輪の中に右手の中指から小指...
2022.10.15 22:30武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之七礼法 三正坐の座し方支度が整ったら、師範及び道場に対する座礼、神前の拝礼、刀礼の三礼を行います。まず師範、道場への座礼を行います。これは本来、師範に対する礼でもありますが、当会では仕事や家庭の都合で稽古開始時間に来られない人もいる為、稽古開始時間に間に合わなかった時は道場に対する礼として行います。稽古に入るにはまず、正面の師範に対し正対す...
2022.10.10 02:39武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之六礼法 二立姿勢彼我の挨拶は道場としてのルールというより、一般常識です。そのうえで入場時、作法としてはまず道場に入る時に一礼して、場内に入ります。この際、右足から踏み込みます。あいにく師よりこの理由は伝えられていませんが、殿中の礼法であった伊勢流に拠る利き足から立てる事、現代武道一般の通例、清田泰山師が戦前戦後を通し軍人であった事など、いく...
2022.09.24 23:54武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之五礼法 一刀の持ち様刀は本身であれ模擬刀であれ、道場以外の場所では移動中を含め「すぐに抜くことが出来ない」状態であることが大原則です。基本的には刀袋で包み、刀ケースに収めて持ち運びします。刀ケースは、知っている人から見れば中身は一目瞭然ですが、しっかりしまってあると判る事が重要です。抜く意思が無いことを示すために、抜き手である右肩で刀ケース...
2022.09.17 13:48武蔵野稽古会傳 作法 細論 其之四着装 四下緒着装の最後に、刀の下緒について記しておきます。本来打刀の下緒は、戦場に於いて腰帯に絡めたり、左右から胴に回し右腰で結ぶなど、鞘ごと抜け落ちないように付けられたのが始まりと云われています。戦の無くなった江戸中期頃より、襷に使う、塀や崖を越える時に刀を足掛かりにして乗り越え、下緒で刀を引き揚げる、等の現代でもよく聞く用法が流布され...